(指揮者/高橋利幸HP 『徒然草』 2008.5.3*百二段* より)

 いつの間にか、この徒然草が百段を越えた。ブログではないので、読者の数を期待しての文ではない。それでも、少しずつ段数が増え、読む人もいてくれるということは無類の喜びだ。

 ねむの花の演奏会の第二ステージは「噴水のある風景」だ。故・磯部俶の代表的な合唱組曲の一つだ。だからこそ、作曲者自身の指揮でレコーディングもしている。1964年の作品だから、44年前の作品だ。当時の噴水のある風景をそのまま描写している。当時は同じ職場の人たちで上司も交え、ハイキングに行っていたのかも・・・と想像できる。

 セールスマンが公園で休んでいたのかも、と思い、笑いも出てくる。もちろん微笑ましい笑いだ。44年前の会社勤務の女性の心模様だと思えばいいのか。それだけだとしても、いまの殺伐とした社会状況から比べればはるかにましだろう。

 楽しさの陰に悲しさがあり、軽さの中に重さがあり、明るさのなかに暗さが、かいま見えるという、磯部作品の真実がここにある。ロマン的ともいえる、描写の対比が明確に出されている。その時代の充実感と未来への不安を感じさせる名曲となった。

 この組曲のピアニストの吉川美子さんは団内ピアニストだ。団内に引きとどめておくにはもったいないくらいの技量の持ち主だ。独特のさっぱりとした、自然の天然・・・が入る持ち味を生かすべく、この曲のピアニストとした。確実な技量と、表現のストレートさを味わってほしい。

 ピアニストの個性と女声合唱の個性とが火花を散らすからこその芸術だ。決してルーティンにはならない表現を目指しての第二ステージであることに間違いはない。ご自分の経験とも照らし合わせて聴いてくだされば、思いも届くというものだ。




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ねむの花 第4回演奏会 「邦人作曲家四人展」

指揮者/高橋利幸HP

合唱組曲の指揮