(指揮者/高橋利幸HP『徒然草』2009.11.3*三百五十六段*より)


 NHK特集、三夜連続の番組を見た。世間で言われる55年体制から現在の政権交代までを、インタビューの形式でドキュメントにまとめたものだ。民主主義、あるいは政治の難しさが浮き彫りになっていた。離合集散という言葉がぴったりとくる政治のシビアな現場、良くも悪くも人間そのものの政治家のインタビューの言葉だった。風聞をもとにしてのものではなく、本人のインタビューを背景にしての番組だけに説得力があった。

 国民の意思の付託を受けての政治だと思えば、政治家の行動もおのずと定まるのだろうと思うのだが、現実は、様々な感情も入り混じり、政治家自身の迷走が生まれるようだ。人間のすることというのは、時に空しく、時に賢く、本当に理解するのは難しい。それにしても政治家とは難しい職業だ。思想や哲学が必要だが、それをあまりに表に出しすぎると、反発も大きくなり、選挙では勝てないとのこと、ある面では大衆迎合とも思える主張が必要とされる。並みの神経では政治家にはなれない。

 国民の一人として政治家に託す最大の行動は選挙での一票でしかないのだが、多くの選挙での投票率をみると半分にもならないことが多く、民主主義の確立にはまだ時間がかかりそうだ。自分も若いころに投票に行かなかったことを思い出した。大切な一票を無駄にしていたとは・・・。

 このところ気温が急激に下がってきた。苦手な冬の到来を思わせる。寒さとともに植物の枯れるのを見る秋から冬にかけてはあまり好きな季節ではない。収穫の秋ともいうが、収穫の後には何も残らない。こう考えるのはあまりにネガティブだが。この毎年の営みを感じられることを有難いと思わねばなるまい。

 秋に聴く音楽・・・これはベートーヴェンをもってベストとする。不屈の意志力が精神に力を与えてくれる。時に型破りで、時に均衡がとれていて、時にロマンティックであり、時には旋律が否応なく魅力的であり、天使でもあり悪魔でもあるのがベートーヴェンの魅力だ。懐の大きさは真剣に聴いてもその思いにこたえてくれ、BGM風に聴いても苦にならないところで感じることができる。

 もちろん勉強として聴いても常に新しい発見がある。

 ふと考えた。たとえば、最近亡くなられた日本人の作曲家の作品は、一体いつどこで演奏されるのかと。黛 敏郎さんの涅槃交響曲、芥川也寸志さんの交響曲は、團 伊玖磨さんの曲は・・・と考えると「音楽」の存在の難しさを改めて思う。可能性として考えられるのはコンクールでの交響曲のある楽章の演奏だ。独唱、独奏、合唱以外の形での演奏の可能性は採算というものを考えれば難しいのだろう。

 合唱作曲家の「磯部 俶」さんの作品をニューイヤーコンサートのなかで取り上げるのだが、はたして現在どれくらいの人が「磯部 俶」という名前と作品を知っているのか・・・いささか不安になってきた。

 




ねむの花 HOME
ねむの花 第7回演奏会 「NEW YEAR CONCERT 〜忘れられない名曲シリーズVol.3〜

指揮者/高橋利幸HP

磯部 俶さん