(指揮者/高橋利幸HP『徒然草』2009.6.22*二百九十四段*より)


 ねむの花、ルーテル市ヶ谷ホールでの演奏会が終わった。2月の浜離宮朝日ホールと今回のルーテル市ヶ谷センター(ホール)、両方ともに、響きの残響が適度で、指揮者をも心地よくさせてくれるホールだ。小ホールで「いいな」と思わせてくれるホールが意外に少ないのだ。
 少ない知識で分析すると、小ホール、中ホールは大体座席数×千円がホールの使用料だと考えてもよい。多少の違いはあるが。(この数字は民間のホールの場合だ。)
 公共のホールは使用料が抑えられている。魅力十分だ。その分ホールを確保するのに、莫大なエネルギーを費やすことが多い。やむなくという面もあり、金額は張るが、民間のホールを選択することが多くなる。「公共」という本来の良さをもっと発揮してほしいと公共ホールの関係者にはお願いしたいものだ。

 音楽の表現者にとって、会場のホールの響きは重要だ。本当は聴衆にとっても重要なのだが・・・人生のある限られた貴重な時間をお金と時間と体力を使ってホールに足を運ぶのだ。「よかった」と思いたいはずなのだ。こう書いている私も昔はホールの響きの選択なんてしていなかった。生の演奏が聴ければホールの音は二の次・・・そんな時代を経て今の考えに至った。

 85歳、大中恩さん、見事だったな。アンコールで一曲指揮をしてくれた。昭和22年作曲の「花すみれ」・・・終戦直後で創作意欲が否応なく旺盛だったころの作品とのこと。作曲家としてだけではなく、合唱指揮者としてのキャリアが豊富な大中さんだ。現役の指揮者以上の指揮だったと断言してもよい。大作曲家の指揮でその人の作品を聴けるのだ。お客さんも満足されたことと思う。私も舞台から降りて客席で聴いた。この「邂逅」感が味わえるのが生の演奏会だ。これは病みつきになる、か、「はまる」感覚だ。

 ところで、次回の演奏会で取り上げたかった磯部 俶さんの合唱曲「郷愁」の楽譜が見つからない。昔、Nコンの課題曲になった曲だ。自宅にあると思って探してみたのだがどうにも見つからない。1966年に出版はされているのだが。40年以上前の曲だと思えば、廃刊もやむなし、か。
 「忘れられない名曲シリーズ」には、私の中ではどうしても必要な曲なのだ。自分が合唱団の一員として歌った曲でもある。それが理由で演奏会に取り上げたいというのでは、あまりに個人的な選曲かな、とも思うのだが、隠れた名曲として、今だからこそ紹介したいと思えば、私の思いもあながち悪いものではないか、とも考えている。
 しかし、紹介したくても楽譜がなければお手上げだ。この壁のクリアは難しいかも知れない。






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ねむの花 演奏会 「愛と心の歌 〜忘れられない名曲シリーズVol.3〜

指揮者/高橋利幸HP

ルーテル市ヶ谷ホール